2014年5月28日水曜日

身の回りのモノ何でも3Dモデル化しちゃいましょう Project Tango

TangoはGoogleが開発中のAndroidベースのスマートフォンおよびタブレットのこと。
赤外線深度センサーを背面にもち、周囲の地形をリアルタイムでモデリングすることができる。
Tango
距離が遠い部分は青色で、距離が近い部分は赤色で表示される

どれだけのリアルタイム性と精度が得られるのかはまだ分からないが、この技術が完成し、Oculusのような広視野角のHMDと組み合わされば、晴れて「電脳コイル」のような理想的なARが実現することになる。つまりHMDごしに眺めた現実の風景の中に、実際には存在しない3Dオブジェクトを表示することができるわけだ。宇宙生物を部屋の中で飼ったり、初音ミクさんと一緒に町の中を歩いたり、学校を舞台にしてマルチプレイのFPSを遊んだり、渋谷センター街でモンスターどうしを戦わせたりできる。いきなりそこまで行かなくても、Google Glassに搭載すれば、町の中を動き回る実態のない公告が可能になるし、Google Mapは屋内や地下街も含めて3D化していくことだろう。
MicrosoftのKinectを開発していた人物がプロジェクトを指揮しているそうなので、風景の中から人間を含む「動体」を識別し、背景と区別する(マッピングしない)ことも目指しているようだ。
なんか、GoogleはGlyphを買収するんじゃないかという気がしてきた。きっとそのつもりだ。

知名度低すぎ iBeacon

iBeaconはBluetooth Low Energy(BLE)を使った新技術のこと。おサイフケータイで使われるNFC(Near field communication:近距離無線通信)の代替技術とも言える。Appleの商標だがBLEじたいは汎用技術なのでAndroidにも対応させることは可能。iOS7から標準搭載されたことでO2O(Online to Offline)、つまりユーザーをオンラインサービスから実店舗へ誘導するマーケティング施策が行いやすくなると期待されている。具体的にはビーコン(BLEの端末)を実店舗に配置し、ユーザーのスマートフォンとの間で通信を行う。ビーコンとスマートフォンの距離をセンチ単位で認識し、挙動を変えることができるので、例えば店内に入った時点でスマートフォンへプッシュ通知を送り、さらに商品に近づいたところで説明ページを表示し、ポップにスマートフォンをかざすとクーポンを発行する・・・といったサービスが可能になる。ユーザーはBlue ToothをONにし、待機状態でのPUSH通知もOpt-Inしておく必要があるが、アプリを起動していなくてもPUSHは受け取れるし、自動的にアプリを起動することもできる。従来のようにバーコードを読み取ったりする手間もないので、ユーザー側の負担は圧倒的に軽くなる。アメリカではAppleStoreをかわぎりにMacy'sやメジャーリーグなどでも採用されているが、日本ではまだまだこれからという印象だ。東京国立博物館に続きTOHOシネマズが採用したが日本橋と六本木の2館だけという寂しい状況。とはいえ、先日東京ビッグサイトで行われたWeb&モバイル マーケティング EXPOではO2Oを掲げるブースが異常に多く、勢いを感じた。iBeaconは今年、大きく普及するかもしれない。
個人的にはGoogle Glassのようなグラスデバイスとの組み合わせに期待している。Google Glassをして店内を歩き回るだけで、視界内に様々なタグが表示される。興味をひいたものがあれば、一定距離に近づくことでさらに詳しい情報が表示される、といった使い方だ。慣れるとウザいかもしれないが、今までに無い体験ができそうな気がする。

2014年5月27日火曜日

オキュラスやモーフィアスを脅かすか? Glyph

Avegant社が2014年の年末発売を目指して開発中のVirtual Retinal Display『Glyph』
Glyph
現在開発中のバージョンは視野角が45度しかないため臨場感はOculusに劣るが、網膜に直接映像を投影するタイプなので眼が疲れにくく、原理的には視野角360度(恐らく縦横それぞれ180度という意味だと思われる)も可能とのこと。
これにはDLP(Digital Light Processing)プロジェクターに使われているのと同じ、Texas Instruments社のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)という、アルミニウム製MEMSマイクロミラー・アレイが搭載されている。MEMS(Micro-Electrical-Mechanical Systems)とは半導体制作技術によって作られる機械構造のことで、インクジェットプリンタのプリンタヘッドや、超小型ジャイロスコープなども作られている。DMDは、CMOSプロセスで作られた集積回路上に、およそ10数μmの極小・可動式マイクロミラーが敷き詰められている構造で、鏡面下部の電極を駆動することにより2つの傾きの状態を作ることができる。1つのマイクロミラーが1画素を担うので、高精細な表現が可能だ。
Avegant社はTexas Instruments社から市販前のDMDの供給を受けているとのこと。

2014年5月26日月曜日

腕時計の中でペットが飼える? Android Ware

Android WareはAndroid OSのスマートウォッチ用API群のこと。スマートウォッチは常に身につけておくことができるので、時計としての機能はもちろん、移動中や入浴中に電話やメッセージを受け取ったとき、音声入力や定型文選択によって即座にレスポンスするには非常に便利だ。ランニングやサイクリングをしながらBlueToothヘッドフォンで音楽を聴いたり、GPS内臓機種なら位置をトラッキングできるので、重たいスマートフォンを装着するよりもよいだろう。赤外線によるテレビのリモコン機能も、案外重宝しそうな気がする。
しかしゲーム用デバイスとしては画面が小さすぎる。指でタップする際に画面のいちぶが隠れてしまうため、Google Glass以上に制約が厳しい。ポーカー、ブラックジャック、スロット、ビンゴのようなカジノゲームか、たまごっちやPetVilleのような育成ゲームぐらいしか向かないのではないだろうか。指に隠れないわずかな表示領域を巧く使うことができれば、指二本で操作する太鼓の達人が作れるかもしれない。丸いし。

2014年5月25日日曜日

全方位ルームランナー「オムニ」はゲームプレイを変えるか? Omnidirectional Treadmill

「トレッドミル」は日本語ではルームランナーと訳されることが多いが、もともとは室内で歩行するための健康器具。しかしゲーム業界では、移動入力装置として注目を集めている。柱となる技術はユーザーの位置を動かさないようにするための可動部分とユーザーの移動意志を読み取るセンサーの2つ。Virtuix Omni Gaming Treadmillは腰を固定し専用シューズをはかせることで、可動部分を無くし、わずか5万円という低価格(予定)を実現した。慣性が働かず動摩擦も発生するため普通に歩くよりも疲れる代物だが、Oculusと組み合わせれば夢のヴァーチャルリアリティーが自宅で手軽に実現するわけで、知人が買いたいと言っていたら勧めるべきだろう。
Virtuix Omni Gaming Treadmill

ユーザーの負担を軽くするには、床を可動させる必要がある。現状はクロネコヤマトのクロスベルトソーターのようにベルトを使うタイプが主流だが、

乗り心地を考えるとベルトは次第に細くなり、いずれはその上にボールを敷き詰めたタイプに移り変わり、そのボールもどんどんと小さくなっていくだろう。
いっぽうセンサーは足の裏の圧力を敏速に読み取る必要がある。当初は感圧センサーを埋め込んだインソールを使うことになるかもしれないが、いずれはトレッドミル側に内蔵されるだろう。
さらにフィードバック機構や傾斜機能が加われば、トレッドミル型インターフェースとしてはひとつの完成を見ることになる。しかし設置場所やマルチプレイプレイのしやすさを考えると、究極的には靴底に駆動型ボールベアリングを敷き詰めた靴のほうが良さそうだ。インターフェースというより、まずは「電動アシスト付き靴」として開発されることになるだろうが。





グーグルカーに殺人は可能か? The Mathematics Of Murder

Popular Scienceが問題提起しているのは、自動運転システムが確立したとして、事故に遭遇した際、コンピューターにはどのような優先順位で判断をさせるべきかという問いかけだ。
アジモフのロボット三原則によれば、ロボットは何よりもまず人命を優先しなければならないとされている。人命を救うためであれば、1億円の競走馬を乗せた場運車にも迷わず突っ込むというわけだ。この点については倫理的に議論の余地はないだろうが、人と馬の比較ではなく、人と人との比較を求められた場合は、どうすべきか?
例えば以下のような状況が考えられる。
①運転手の命を犠牲にすれば、同乗者や歩行者を救える場合、どうするか?
②2人の歩行者のうち、どちらかだけを救える場合、どうするか?

上記の記事ではトロッコの問題に代表されるようような目的論と義務論に照らし合わせて考えているが、そもそもこの問題を倫理や道徳で考えることが間違っている。カーコンピュータは人間ではなく製品なのだから、問われるのは倫理観ではなく製造者責任だ。事故の責任を問われる立場にあるカーコンピュータの製造メーカーの視点で考えるべきであり、もっとも賠償額が少なく済む方法が正解なのだ。コンピュータが原因で事故が起きた場合、責任を問われるのはしかたない。そうならないように高品質な製品作りを目指すだけだ。しかし事故の原因が第3者にある場合は、責任はすべてそいつに被せるべきだ。ステアリングを右に切って運転手を殺しても、左に切って同乗者を殺しても、製造者は最悪、過失致死が認められ実刑を受けてしまう。それよりも「いかがいたしましょうか?」と運転者に問い合わせたまま機能を停止するほうがよい。まさに目前に暴走トラックが突っ込んで来ようとしているときに、運転者が判断することなどできるはずもないが、メーカーにしてみればそんなことはどうでもよい。判断を求めたにも関わらず、即座に判断できなかった人間が悪いということにしてしまえばいいのだ。

2014年5月20日火曜日

スタートレックは預言書だった? Star Trek is predicting the future since 1966

完全に記憶から飛んでいたが、スタートレックDS9にはGoogle Glassに似たヘッドセットが登場していたようだ。
シーズン5第2話「the Ship」で初出。墜落したジェムハダーの宇宙船の中で発見したとき、ダックスは「Virtual Sensory Display」と呼んでいた。
シーズン6第1話「a Time to Stand」でこの船を使ってドミニオン領に潜入する際、シスコが使うのだが、このときはドクターは単に「Headset」と呼んだ。船壁が透明化し、船外を全方位好きな方向見る事ができるので、かなり便利そう。ただしジェムハダーとボルタ向けに作られているため、シスコは激しい頭痛に襲われてしまう。
下はThe Next Generation で盲目のLa-Forgeが装着しているVisor
Borg化したピカードもつけていた
日本だと圧倒的にこっちの知名度が高いが・・・

2014年5月18日日曜日

グーグルグラスはゲームに向いてない? Google Glass

1500ドルと高価だが、アメリカでの一般販売が開始されたGoogleGlassは、OculusやMorpheusと比べてどちらかというと実用性に期待されたデバイスだが、ここではゲーム用デバイスとしての可能性を考えてみたい。
Googleは開発者にインスピレーションを与えるためという理由で5種類のミニゲームを公開している。

  1. 「Balance」。荷物を落とさないよう傾きセンサーを操作。
  2. テニスゲーム。スイートスポットにボールが来るように加速度センサーを操作。
  3. 「Clay Shooter」。タイミング良く音声命令で射撃。
  4. パズルゲーム。これも加速度センサーでパネルをひっくり返す。
  5. Shape Splitter。手をカメラの前でかざしてオブジェクトを消す。
多くの人がARを使ったゲームを期待していると思うが、画像処理速度が上がり、深度カメラを搭載しないとキネクトのようなゲームは作れないだろう。5番のShape Splitterはいちおう画像認識をしているが、これはプレイステーションのEye Toyと同じく画像の動きのベクトルを感知しているだけなので、おおざっぱな操作しか反応しない。
操作系のうち方向入力はフレームの右側面にいちおうタッチパッドがついているが、ずーっとここに指を当て続けるのは腕が疲れるので、基本的にヘッドジェスチャーと、磁気センサーで行うことを考えたほうがよいだろう。ちなみにGPSは内蔵していないので、位置情報をとりたい場合はスマートフォンとBLEで通信する必要がある。
操作系のうち決定やキャンセルは、フレームの内側に備え付けられた赤外線センサーで瞬きを感知することはできるものの、これも気軽に瞬きができなくなり精神的にストレスがたまる。「Do It!」といった音声による入力も悪くはないが、周囲の環境によっては声に出せないこともあるので、あくまで2次的な手段と考えるべきだ。結局、決定やキャンセルの操作も、「うなずき」のようなヘッドジェスチャーが適していると言える。
またゲームを作るにあたっての最大の制約は画面サイズだろう。解像度は640×360と悪くないが画角が狭い。多数の文字や数字、アイテムを並べて判別させるのは困難だ。
以上の点を踏まえると、おそらく初期の段階で最も成功するのはスロットとビンゴだろう。何か別のことをやりながら、常に視野の右上で運試しが行われるというわけだ。
日本では「魔法使いと黒猫のウィズ」のようなクイズゲームも相性が良さそうだ。音声認識の精度が高ければ、出題も解答も音声で可能かもしれない。

「プロメテウス」の剛力さんは小保方さんだった! PROMETHEUS

評判悪いので今まで見ていなかったが、義務感で鑑賞。
「エイリアン」シリーズを見たときも、「なぜ危険がありそうな場所に、いきなり人間が入ってく必要があるのか?」と激しく疑問を感じていたが、本作でもその疑問は健在。
2094年の設定だが、事前にリモートセンシングすることなく目視でで惑星に着陸し、ロボットも使わず徒歩で危険な遺跡に踏み込んで行く。冒頭で乗組員から「根拠はあるんだろうな?」と聞かれた科学者が「無いわ。でも私は信じてる」と答えるあたりから、科学とはなんだろうかと考えさせられる。
PROMETHEUS
いちおう探査プローブが自動的にマップを作成してくれるので、エイリアンの時代(未来だが)よりかは進んでいるようだが、それ以外のことはできないらしく、なぜか映像を送ってこない。
洞窟の中に酸素があることがわかって科学者がおもむろにヘルメットをぬぐし、見つけた有機物にいきなり触るし、細菌の心配をまるでしていない様子。同僚の博士が感染して死んで初めて血液検査を指示してるし。人類史上初めて異星の生命体と出会ったときの科学者たちの反応は「こっちおいで子猫ちゃん〜」と軽いノリ。
そもそも古代壁画から遠方の太陽系の位置を割り出した方法も謎なのだが、科学者が「この太陽系には太陽がある」と謎の発言。大事なときに「(戦艦じゃないのは)わかってる。でもやるしかない。信じて」としか言えない科学者の論理性もひどいが、それを真に受けて仲間とともに特攻を決断する船長の判断基準もおかしい。

失礼な言い方かもしれないが、女性科学者の声を剛力彩芽さんが棒読み風に演じていることもあってか、なんかコボカタさんのイメージと被った。
Elizabeth Shaw , played by Noomi Rapace
小保方晴子さん

ゲームをやりすぎると太るらしい GAMER


映画「ゲーマー(Gamer)」は2009年の作品だが、ゲーム制作者としては義務として見ておかなければと思い鑑賞。

人間の身体にナノチップを埋め込み、他人が遠隔コントロールする技術が生み出された世界。犯罪者の身体を高校生が操作して殺し合いゲームをしたり、引きこもり男が美女の身体を操って享楽に明け暮れたりしている。ロボットを操る「サロゲート」の世界に比べて実用性が低いのでエンターテインメントにのみ活用されているようだ。詳しくはわからないが全身を使ってコントロールしている様子はXBOXのキネクトのイメージにに近い。
正直、「監獄島」のように普通に囚人どうしを戦わせるほうが面白いんじゃないだろうかと感じてしまったが、他人の身体を自在に操ってみたいという欲求は確かにあるので、将来、金持ちの道楽としてならあり得るだろう。操作される側としてはたまったもんじゃないが、高額な報酬が得られるというなら、現代のAV女優と同じような位置づけだ。
主人公の妻を操作して楽しんでいるのは、身動きできないほど酷い肥満の男なのだが、これがまたプレイしながらワッフルを蜂蜜につけて頬張っている。程度の差こそあれ、フライドポテトを食いながらゲームをプレイしている自分の姿と重なって、他人とは思えなかった。

2014年5月17日土曜日

やばい。バックトゥザフューチャーの未来まであと1年! Back to the Future 2

バックトゥザフューチャー2で1985年に住むマーティが訪れる未来世界は2015年10月21日。そこには様々な未来技術が登場する。
  1. 空を飛ぶ車と空中ハイウェイ。Skyway Flier。
    • Wilson hover conversion system。4万ドルで普通の車をエアカーに改造。
  2. 自動的にしまる靴ひも。Nike Power Laces。
  3. 弁護士を廃止することによる司法制度の高速化。
  4. ホログラフの看板。ジョーズ19。
  5. 音声認識の自動ウェイター。
  6. 空飛ぶスケートボード。Hoverboard。Matel製。
  7. 乾燥機能つきジャケット。Drying Mode。
  8. 埃避けペーパー。Dust-repellent paper。
  9. 窓ディスプレイ。Scenescreen。
  10. 逆さ宙づり矯正具。
  11. ホームコンピュータのストレス解消機能。lithium mode。
  12. ピザが作れる水和調理器。Hydrator。
  13. 電話もかけられるバイザー。
  14. 壁掛けFAX。
以上、14の未来技術のうち、すでに実現あるいは実現が見込まれているのは以下の通り。

2はNikeが予定通り、来年発売することを報じている。
5 Robot Waiter in China
7 Air Conditioning Jacket
9 Smart Window

13 Google Glass (Beta Version)

14 Wall Mounted Printer
というわけで、どうやら40%は実現したと言えそうだ。
もっとも1と6と10はすべて同じ技術だと言えなくもないので1つにまとめてしまえば50%の達成率だ。ホバーボードの実現は、いったいいつになるのだろう。

手のひらがテンキーになる! Fin

Fin
中指にはめるiRingのコンセプトデザインに比べ、親指の「Fin」は不格好で第一印象こそ悪かったが、残り4本の指の節がキートップになるというアイデアは見事。自分の指であれば歩きながらポケットの中で操作したとしても打ち間違いは少ないし、電車の中や、街中を歩きながらでも、自然な姿勢でテキスティングができる。
Google Glassのようなデバイスは音声コントロールすることを前提としているだろうが、iPhoneのSiriだって人前で使うのは恥ずかしいし内容も漏洩してしまうので抵抗がある。
このデバイス、実用上精度が悪いようなら、とりあえず手袋型でもいいから早く発売して欲しい。

2014年5月16日金曜日

賢いクズ? Smart Dust

互いに通信しあうことができる微細なセンサーを「配置する」のではなく、あちこちにばらまくというのがスマートダストの考えかただ。
ビルのコンクリートの中に混ぜ、道路のアスファルトの中にも混ぜる。短距離での通信しかできないが、互いが無線ネットワークでつながり、クラウドともつながっているため、遠方の道路の状態や建物の中の状態まで把握することができるようになる。親はGPSよりも正確に子供の場所を知ることができる。座標だけでなく、何階のどの部屋にいるかまでわかる。スマートダストが満たされた建物に、泥棒が入り込む余地など無い。車に乗って逃走しようにも、町中の車の位置はすべて警察が把握できるようになる。車も自分の位置や他車の位置がわかるから、自動操縦が可能になるし、渋滞はもとより交通事故も起きなくなる。地下のどんなに入り組んだ部屋の奥でも、無線LANが快適につながるようになるため、真のユビキタスコンピューティングが可能になる。体に異常がでれば、すぐさま病院に連絡が入り、救急車がやってくる。

さらに、スマートダストを空中に散布するというアイデアもある。昆虫のように小さく軽く作ることができれば少ない電力で空中を飛べるかもしれないし、粉末のサイズまで縮小することができれば、動力などなくても空中に滞留できるようになるだろう。戦場でばらまけば敵の位置や動きが手に取るように把握できるようになり、ピンポイントでターゲットを殺害・破壊することができる。平時には危険極まりない存在だが、誰ががばらまいてしまったら、これを個別に見つけ出し掃討することは、かなり骨が折れるだろう。ゴジラのような巨大な怪獣より、よほど恐ろしい存在になりうるのだ。

2014年5月15日木曜日

宇宙開発さえもナノテクノロジーの時代へ Nanosized Starship

将来、近隣の惑星を開拓し、遠方の太陽系を探索する宇宙船は、スタートレックのエンタープライズ号などSFに登場するかっこいいロケットとは程遠いものになるかもしれない。
考えてみれば当たり前のことなのだ。遠方に早く何かを運びたいのであれば、質量は小さいほうがよい。ダイダロス計画の重水素核融合パルスロケットは光速の10分の1に至るというが、人類は素粒子レベルの質量であれば、すでに光速の直前までの加速に成功している。人間が乗った巨大なロケットを大量の燃料を燃焼させて射出するよりも、指先程度の小型ロケットをレールガンで打ち出すほうが遙かに効率が良い。
人間が生活するための食料や水や酸素や生命維持装置を遠方の惑星に運ぶより、自己複製機能のある超小型ロボットを送り込み、現地の岩石を材料にして自己増殖させ、探査や開拓をさせたほうが早くて確実だろう。ロボットなら何百年の旅でも退屈しないだろうし、不幸な事故にあったとしても必要な犠牲だったのだと割り切れる。
何十億円もかけて作った1機のロケットは絶対に失敗できないが、安価なフィンガーロケットなら、ほとんど失敗することを前提にして、宇宙のあらゆる方向に大量に放つこともできる。
ひとたびナノサイズスペースシップの技術が確立してしまえば、もはや大型ロケットを作る理由は、移民か観光ぐらいしか思いつかない。
ナノテクノロジーによってかつて我々の想像していたガーンズバック的未来像が大きくゆらいでいる。

2014年5月11日日曜日

Amazon Prime Air

小型ラジコンヘリコプター(ドローン)を使い、注文してから30分で届くというPrime Airサービスを、Amazonは早ければ2015年に実現しようとしている。重さは2.3kgまでとのことだが、現在Amazonで扱っている商品の86%をカバーできるという。
キャンプ先でバーベキューを始めようとしたところライターや燃料を忘れたことに気づいた時なんかは重宝するだろう。そもそも重い荷物をもって山道を歩くのは疲れるので、荷物はドローンに運ばせることにして手ぶらででかけるなんてこともあるかもしれない。
ドローンと聞くと、ジェームスPホーガンの「未来の二つの顔」を思い出す。空を覆うほどの無数のドローンがC4火薬を運んでいる情景を想像すると、ちょっと怖い。

グーグル宅配便 Google Shopping Express

Google Shopping Express

Googleも物流に着手し始めている。昨年からサンフランシスコとサンノゼでテスト運用していた宅配サービスが、2014年5月5日よりロサンゼルスとマンハッタンでも行われるようになった。スマホの専用アプリから注文すると、その日のうちに届く。提携ショップは、Target、Walgreens、Staples、American Eagle、Toys“R”Us、Babies“R”Us、Office Depot、Costco、L'Occitaneと大手が名を連ねている(Duane Readeは未対応なのね)。
GoogleはGoogleMapを提供するだけでなく、自らそれを活用することで、信号が青になるタイミングや渋滞の事前予測を駆使して最短ルートを見つけ出す究極のカーナビを完成させるのではないだろうか。そして上の写真の車をBoston Dynamicsのロボットが運転するようになると、いよいよAmazonもうかうかしていられなくなるだろう。

クロネコヤマトのハイテク物流センター Haneda Chrono Gate

クロスベルトソーター
昨年羽田にオープンしたクロネコヤマトの物流センター「クロノゲート」は予約をすれば無料で見学する事ができる。
施設内で医療器具の洗浄、電気製品の修理、オンデマンド印刷までやっているというのも驚きだったが、圧巻はこのクロスベルトソーターだ。セルと呼ばれる単位で横方向にも回転する機構をもったベルトコンベアなのだが、合流地点でコンベアの隙間に新たな荷物を滑り込ませるところや、センサーで荷物の位置のずれを感知して修正したり、全方位から表面のバーコード読み取って、目的地に合わせて仕分けるところは賢く、早くて、正確。荷物には様々な形、大きさ、重量があるのにも関わらず、フロアには人間が1人も居ないのに24時間動き続けている。
トラックからロールボックスパレットを運び出し、荷物をコンベアに乗せるところまでは、ほとんど人間が行っているようだが、いちぶマニュピレータも導入されており、ここの部分が完全自動化されるのも時間の問題のようだ。
ヤマト運輸は2019年に創立100周年を迎えるというが、ラジコンヘリによる配達を考えているアマゾンや、トラックの自動運転を考えているグーグルとも、当面は共存・共栄していけそうな勢いを感じた。

2014年5月6日火曜日

人間洗濯機まだぁ? Human Washing Machines

Avant社の人間洗濯機「santelubain999」
2009年に1800万円で発売され、テレビでも紹介されて話題になったが、現在Avant社のホームページは消えている。どうやら都内で体験できる場所も表参道のエステサロン「ピュウベッロ」だけになってしまった模様。

サンヨーの介護浴槽「Hirb」
こちらはまだ現役で500台売ったとのこと。介護用なのでパーソナルユースには向かないが、介護における入浴の手間は甚大なので、ニーズは高いはず。

1970年の大阪万博で展示されたサンヨー館の人間洗濯機「ウルトラソニックバス」
それほど高度な技術が必要だとも思えないのだが、大阪万博からすでに40年以上経っているにも関わらず、未だに人間洗濯機が普及していないのは不思議だ。何が障害になっているのだろうか。

ルンバは買い時か? Roomba

iRobot社「Roomba 880」のエッジクリーニングブラシ
Roomba 880
ホコリがたまりやすいのは部屋の隅なのに、円盤形のルンバで綺麗に掃除できるのか?と疑問だったが、上記のエッジクリーニングブラシが本体から突出してホコリを搔き入れるため問題ないらしい。
2014年3月に日本で発売されたルンバの最新機種880は76000円。吸引力5倍、電池寿命2倍、ダストケースの容量1.6倍と着実に進化をしている。
しかし価格の高さに加え、メンテナンスの面倒さが課題だ。1回清掃するたびにダストケースを掃除するのは人間の仕事だし、部屋にスーパーの袋などが落ちているとルンバが乗り上げて立ち往生してしまったりするので、事前の片付けも面倒くさい。まるでロボットのために人間が働かされているような心境になりそうだ。
汎用性を突き詰めると究極の清掃ロボットはヒューマノイド型になるかもしれないが、その前に複数のロボットが機能を分担し、チームで作業するタイプが現れるだろう。マニュピレータを備え、清掃前の片付けを担当する整頓ロボットと、狭いスペースにも入り込む小型の掃除ロボット、そして仕上げの拭き掃除ロボット。家の広さと求める速度に応じて、追加のロボットを購入することができ、それらはすべてネットワークで接続される。それはまるでファンタジーアニメのシーンのように、コビトさんたちがせっせと働いてくれているような風景になるだろう。余裕があれば音楽に合わせてダンスも披露してくれるかもしれない。



小型汎用ロボット「バクスター」 Baxter

ReThink Robotics社の「Baxter」
ルンバを開発したロドニー・ブルックスが2012年に発売した汎用産業ロボット。
200万円という低価格と、プログラム知識が無くてもBaxterの手を動かしてやることで仕事を覚えさせられるという点が特徴。
2本の腕で荷物を動かすような単純な仕事しかできないのだが、それでも米国内だけで80万人がこのような仕事に従事しているという。
Baxterにできそうなことを仕事にしている人は、今のうちに転職を考えておいたほうがよいだろう。
個人で所有するには200万円はまだ高いが、いずれ3Dプリンターと組み合わせ、個人がマンションの一室で「1ルーム工場」を運営することになるかもしれない。

2014年5月5日月曜日

グーグルはロボットで何をしようとしているのか Google's Robot Strategy

2013年12月にGoogleが買収を発表したボストンダイナミクスのBig Dog
ウォールストリートジャーナルが2014年2月11日に報じたところによると、 Googleがロボット関連企業8社を買収した目的は「単純労働者を代替するロボットの開発」とのこと。まぁ表向きはそうだろうが、Googleの真の目的は、資源確保、製造、物流、すべてを手中に収めることだろう。恐らくGoogleは労働者に代わりに成り得るロボットが作れるようになったら、次々と企業を買収し、社員を解雇し、ロボットに差し替えていくだろう。材料の調達から製品の出荷までを一貫して自動で行うことでコストが下がり、ライバルを屈服させ、買収することでさらにシェアを拡大していく。
より便利なサービスを取捨選択するのは人の自由だし、企業が知恵を絞って利益を追求することも罪悪ではないが、生活のほとんどを1社のサービスに委ねてしまうことのリスクは大きい。Mt.GOXのようにハッカーの攻撃を受けたり、不具合によってシステムがダウンしたとき、多くの人命に関わる事態になりかねない。倉庫にロボットを導入し、無線ヘリによる配達を計画しているAmazonや、独自にロボットの開発に取り組んでいるHONDA、リシンク・ロボティクス、AvidBotsなどがGoogleの独占を阻止してくれる事を願う。

反ロボット運動 Luddite movement

ラッダイト運動(Luddite movement)とは、年から1817年頃、産業革命による機械の普及により失業の恐れを感じた手工業者・労働者たちが機械を破壊するなどして主張を繰り広げた運動のこと。

Whole Earth Catalogueの編者でもあったケビン・ケリーは「今世紀の終わりまでに、現在存在する仕事の7割がロボットに取って代わられる」と発言しているが、あくまで「現存する仕事」と断っている点を見逃してはならない。ロボット技術の進歩は確かに人類から職を奪っていくことになるが、効率化は必然であり、悪ではない。我々がすべきことはロボットを破壊することではなく、ロボットにはできない仕事を見つけ、作り出していくことなのだ。

すでにロボットに奪われた仕事
  • 単純な販売業務。チケット、ジュース、タバコ。
  • 作業指示書通りに組み立てる仕事。自動車の組み立て、箱詰め。
  • トンネル掘り。
今ロボットに奪われつつある仕事
  • 危険な場所の探査。海底、宇宙、事故現場。
  • 危険な場所での救出。火事。
  • 兵士。
  • 清掃。
  • 俳優、ニュースキャスター。
  • 会計士。
  • 介護士。
  • 倉庫出し入れ。
  • レジ打ち。
数年後からロボットに奪われ始める仕事
  • 郵便配達。
  • 建築。
  • 警備、監視員。
  • 教師。
  • 野菜や果物の栽培。
  • 受付。案内係。
10年〜20年後からロボットに奪われてしまう仕事
  • タクシー。トラック運転手。
  • 診療。看護師。薬剤師。
  • 家畜の飼育。
  • 警官。
  • ツアコン、シェルパ。
  • 記者。
  • 農場、牧場。
  • 装置の点検と修理。
  • 家政婦。ヘルパー。育児。
あと20年ぐらいはロボットに奪われずに済みそうな安全な仕事
  • 遠隔制御での監視、管理。
  • ロボットの点検と修理。
  • 学者、研究者。
  • スポーツ選手。
  • 小説家、漫画家、映像作家、クリエイター、デザイナー。
  • 演奏家、モデル、パフォーマー。
  • 政治家。
  • 弁護士。

室内菜園 Plant Factory

サブウェイ丸ビル店
植物工場には太陽光を利用するものと、LEDや蛍光灯を使って屋内で栽培するものとがある。前者は土地がたっぷりある国でなら低コストで実現できるが、日本での利用を考えるなら後者が有力だろう。この完全制御型植物工場は設備を作る初期費用と、光熱費のコストが高いことが課題だが、天気に依らず安定的な生産が可能で、多段栽培が可能なため、ビル内や地下、宇宙空間でも植物の栽培が可能になる。
現在、日本のサブウェイでは東京と大阪の2店舗のみ実験的に店内に植物工場を置いている。生産数が少ないため予約者限定となってしまうが、「新鮮で美味しい」と評判だ。害虫の心配が無いので完全無農薬で育てられるし、出荷直後に調理されるので劣化も無い。
農家のかたにとっては危機感の対象かもしれないが、ただでさえ国土が狭く山間部が多くて土地問題に苦しむ日本にとっては福音となるのではないだろうか。