2014年5月15日木曜日

宇宙開発さえもナノテクノロジーの時代へ Nanosized Starship

将来、近隣の惑星を開拓し、遠方の太陽系を探索する宇宙船は、スタートレックのエンタープライズ号などSFに登場するかっこいいロケットとは程遠いものになるかもしれない。
考えてみれば当たり前のことなのだ。遠方に早く何かを運びたいのであれば、質量は小さいほうがよい。ダイダロス計画の重水素核融合パルスロケットは光速の10分の1に至るというが、人類は素粒子レベルの質量であれば、すでに光速の直前までの加速に成功している。人間が乗った巨大なロケットを大量の燃料を燃焼させて射出するよりも、指先程度の小型ロケットをレールガンで打ち出すほうが遙かに効率が良い。
人間が生活するための食料や水や酸素や生命維持装置を遠方の惑星に運ぶより、自己複製機能のある超小型ロボットを送り込み、現地の岩石を材料にして自己増殖させ、探査や開拓をさせたほうが早くて確実だろう。ロボットなら何百年の旅でも退屈しないだろうし、不幸な事故にあったとしても必要な犠牲だったのだと割り切れる。
何十億円もかけて作った1機のロケットは絶対に失敗できないが、安価なフィンガーロケットなら、ほとんど失敗することを前提にして、宇宙のあらゆる方向に大量に放つこともできる。
ひとたびナノサイズスペースシップの技術が確立してしまえば、もはや大型ロケットを作る理由は、移民か観光ぐらいしか思いつかない。
ナノテクノロジーによってかつて我々の想像していたガーンズバック的未来像が大きくゆらいでいる。