Amazon Fire Phone |
日本では一時期、裸眼立体視に対応した携帯電話やスマートフォンが発売されたものの、いずれも不発に終わっており、立体表示じたいに懐疑的な人も多いのではないだろうか。
実際、Fire Phoneにおいても顔認識技術自体は既に多くのコンデジに搭載されているので珍しくはないし、ユーザーの顔の位置に応じて立体モデルの視点を変える効果も、遥かな昔(2008年)にカーネギー・メロン大学のJohnny Lee(現GoogleのRapid Evaluator)がWiiリモコンを頭につけた実験で実証済みなので想像の範囲内だ。スマートフォンを傾けることで立体モデルを別の角度から見る事ができるアプリも「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」などで採用されているLive-2D技術によって見慣れている。
したがってDynamic Perspectiveでできることは、今まで「スマホを傾ける」ことでやっていたこととほとんど変わらないということになるのだが、だからといって価値が無いとも思わない。加速度センサーは重力に垂直な方向の回転にしか反応しないし、姿勢を崩して使うとき正確に反応しなくなるからだ。いっぽうDynamic Perspectiveが見ているのは画面に対する眼の位置だけなので、暗い場所では不利という問題はあるものの、あらゆる方位角の変化を検知できるし寝ながらでも同様に動作する。
スマートフォンのFPSやTPSでは、よく画面の左下にバーチャルパッドと呼ばれる領域を設定し、この上の親指の位置で移動操作をさせているのだが、これが非常に使いにくい。センター位置が触覚的に分からないため、プレイしていると親指の位置がずれてしまい、思わぬ方向に移動してしまったりするからだ。Fire PhoneのDynamic Perspectiveは、ゲームにおける直感的な移動操作を可能にし、ゲーマーのストレスを解放してくれるのかもしれない。