2014年6月20日金曜日

Telepathy One の実現は絶望的か?

2013年8月に5億円を調達しGoogle Glassの対抗馬と騒がれたウェアブル端末「Telepathy One」だが、5月末日をもって井口氏がCEOを退任したそうだ。
いったい何があったのかについては今後情報がでてくるだろうが、井口氏が日ごろから「スタートアップにはハッタリも必要」と語っていることや、「2014年に発売を目指す」割には、試作品がコンセプトモデルに近いことから推測すると、恐らく理想を追求しようとする井口氏と、その構想の実現に年月がかかることを実感している現場、あるいは早期回収を強く求める投資家との間で対立が生まれたのだろう。
確かにマイクロソフトのビルゲイツも創業当時、まったく何も無い状態で投資家に対してMS-DOSの素晴らしさを語り、まんまと資金を調達してから作り始めたというのは有名な話だ。しかしだからといって「ハッタリも必要」などと公言してしまっては、現場の開発者も投資家も不安になるのではないだろうか?

井口氏は「2014年の発売を目指したい」と発言していたが、未来的にデザインされたフレームは、転倒時にいかにも目に突き刺さりそうで、量産品としての安全基準を満たせるかどうか疑問だ。
また、大きな技術革新でもない限り、あの細いフレームに収まるサイズの電池では、十分な駆動時間が得られないだろうし、GoogleGlassとの差別化ポイントとして挙げられているジェスチャー入力も、様々な光が入り乱れる生活空間で、指の動きを正確に捉えることは現実的に難しく、深度センサーの小型化とソフトウェアの開発に時間がかかりそうだ。

井口氏が去ってもエンジニアが残ってTelepathy Oneを完成させようとするかもしれないが、恐らく実現性を考慮して無難な眼鏡型のデザインに変えたとしても、発売まで1年以上はかかるだろう。その間、Google Glassも小型化を追求してくるかもしれないし、他社もウェアラブルデバイスに注目している中で、Telepathy Oneが優位性を保てるかというと疑問だ。