電磁浮上ビークル |
車体の四隅に浮上装置を配置しているのだが、それぞれの浮上装置は、円周上にN極とS極を交互に配置した円盤状の永久磁石と、それを高速回転させるモーターから構成されている。
この円盤磁石を回転させると、周囲の磁場の向きは激しく変化するのだが、その磁界内に、アルミニウムのような「磁石に引き寄せられないが、電気は良く流れる」金属板があると、金属板の中にはその磁場変化を打ち消す方向に電流が流れ(誘導電流、あるいは渦電流と呼ぶ)、結果として磁場変化とは逆方向の地場が発生する。そのため、円盤磁石と金属板が反発しあうわけだ。
さらにこの円盤磁石の向きを変えることで、前後左右好きな方向へと進むことができる。
今回の展示では円盤磁石を地面に水平に配置したタイプと、垂直に配置したタイプの2種類がデモされていたが、前者は直進安定性があるものの、なぜか後退ができず(ただの故障かもしれないが)、後者は浮遊高度は高いが常に揺れている感じでまともに直進できなかった。
ころがり摩擦は自動車のゴムタイアの場合、高速域になると速度の3乗に比例すると言われているが、磁気浮上ではゼロなので、わずかな力が加わっただけでも不本意な方向に動いてしまうわけだ。
とはいえ、この浮上方式の素晴らしい点は、地面側に永久磁石やコイルを配置する必要が無いという点だ。将来、乗用車に適用するには道路を造り直す必要があるが、道路の面積は途方も無くに広く、コストの安さが実現性を決定づけるからだ。