「スマートフォンの時代は終わる」とは2013年1月、久夛良木 健氏による発言だ。
スマートフォン全盛でまだまだ伸びている時期に、このようなことが言えてしまう久夛良木氏はやはり凄い人物だと思う。流行に乗っていると熱に浮かされていて気づかないものだが、冷静に考えれば盛者必衰は当然の理。スマートフォンの時代は遅からず終わる。
今世紀の中頃には脳神経にナノチップを直結するなどして完全なユビキタスが実現し、人間は何も持ち運ぶことなく、いつでもネットワークにアクセスすることができるようになるだろう。そんな時代の人間からすれば、ずしりと重いスマートフォンを手にもって音声通話したり、小さな液晶画面を背中を丸めて覗き込んでいる今の我々の生活は、滑稽で原始的に映るはずだ。丁度、現代の子供たちが黒電話やMS DOSのコマンドプロンプトを見ても訳が分からないように。
半世紀後はともかくとして、直近ではどうだろうか?
スマートフォンの便利さに酔わされていると、こんな便利なものがスタれるはずがないと勘違いしてしまいがちだが、スマートフォンはとにかく重いし画面が小さすぎる。手にもって音声通話していると腕が疲れるし、画面解像度があがるほどに文字が読みづらくなっている。「折り畳める液晶ディスプレイ」は順次開発が進んでいるので、来年あたりからリリースが始まり、やがては「かまぼこ板型スマートフォン」(将来そう呼ばれる)は廃れ、薄くて軽い「シート型」が主流になっていくだろう。
さらに低価格化が進むと、現在デスクトップ・パソコンをマルチモニタで使う事が珍しくないように、用途に応じて2枚、3枚の「スマートシート」を持ち歩くようになる。机の上に無造作に広げた何枚かのシートや、壁にべたべたと貼付けたシートを見比べながら、書類を作成したり、作品を作ったりすることになるだろう。
今じゃ「もったいない」と感じるかもしれないが、いずれ人々はちょっと汚れただけでスマートシートをゴミ箱に放り込み、駅のキオスクで使い捨てのシートを買うようになるのだ。