2014年7月26日土曜日

デジタルフォトフレーム全盛期は目前

現状、フォトフレームの価格は21インチのものが4万円ほどで、27インチのPC用ディスプレイが2万円で買えることを考えると割高感があるが、今後さらに軽くなり低価格化が進めば、インテリアとして購入する人は増えるだろう。しかも1台ではなく複数を並べたり、窓の代わりに風景を表示したりしたくなることは必至で、家電のひとつの分野を築くだろう。
表示画像を変える際にいちいちSDカードを抜き差しするのは面倒だし、HDMIケーブルでつなぐのも格好悪いので、今後はBlueToothLowEnergyなどの無線機能を内蔵し、スマートフォンからの操作で表示画像を変えたり、複数の画面間で連動できるものが主流になるだろう。
ハードウェア的には特殊な機能よりも、いかに軽く大きく綺麗な画面を安く提供できるかにかかっているので、いかにもSamsungやLGが強そうだが、携帯音楽プレイヤーにおいてiPodがWalkManを制したように、結局はプラットフォームの使い易さが勝負を決めるように思う。
iCloudと連携して自分で撮った写真を簡単に表示できるようにしたり、無数の名画の中からユーザーの趣味や季節に合わせたものをチョイスしてくれるgenius機能は必須だが、FRAMEDが提案しているようなアーティストとユーザーを結びつける仕組みも面白い。何気なく聴いていたラジオや有線放送で流れた曲が気に入って購入するのと同様に、次々と表示される無名のクリエイターの作品群の中から、自分にぴったりのものが見つかるかもしれない。
また、Electric Objectでも紹介されているが、デジタルフォトフレームの普及でgif的なループ動画のニーズが高まることで、スティルとショートムービーの間に位置する新しいアートの分野が確立されることになるだろう。


視線入力HMD 「FOVE」は期待できるか?

FOVEは視線入力機能をもったHMD。両目の斜め下方向から赤外線センサーで眼球の角度を捉え、ユーザーがどこを見ているかを検出する。2015年初頭のKickStarterと同年夏の発売を目指して試作中とのこと。
応用例の筆頭として挙げられているFPSでのエイミングについては、実はあまり期待できない。かつてiPhoneなどタッチスクリーンを搭載した機種用のシューティングゲームで、ターゲットを直接タップするタイプのものがあったが、まるでゲームセンターの「もぐらたたき」をプレイしているような感覚になってしまい、まったく面白くなかった。シューティングゲームというものは、距離とか重力とか風とか自分の呼吸だとか様々な制約の中で狙いをつけるからこそ「俺ってすげぇ感」が得られるのであって、ターゲットを直接ポインティングできてはいけないのだ。
しかし、「ユーザーが見ている対象に応じて被写界深度を変える」機能については興味深く、どれほどの没入感が得られるのか早く体験してみたいと感じた。手前のキャラクターを見ている時は背景がボけ、遠景を見ている時は手前のキャラクターがボけるわけで、予想以上の効果があるかもしれない。
日本の、しかもゲームソフト開発出身のかたが起業したとのことで応援したいところだが、アイトラッキング技術じたいは以前からあるものなので、先行するOculusやMorpheusも取り入れてくるかもしれない。差別化するため、例えばポインティングだけでなく、Emotiv Epocのように脳波を読み取るなどして、手を使わずにクリックできるようにしてはどうだろうか。

2014年7月25日金曜日

フロー電池(FLOW CELL)の原理

2014年3月、ジュネーブモーターショーで発表されたnanoFlOWCELL社の電気自動車「Quant e-Sportlimousine」が欧州で行動を走る許可を取得したとのこと。1回の充電で走れる距離は600km。同社によると従来の(Teslaの)リチウムイオン電池にくらべ5倍の効率だとか。
フロー電池はレドックス・フロー電池(レドックス=Reduction-Oxidation Reaction)とも呼ばれる充電池。1884年フランスの科学者シャルル・レナールが発明し、1974年にNASAが月面基地用動力源として注目したことで世界中で研究が進められるようになった。1984年ニューサウス・ウェールズ大学のカザコス教授が蓄電物質としてヴァナジウムを使うことを発見し、実用化に目処がたった。住友電気工業は2012年から横浜の施設で太陽光発電の蓄電実験を行っており、海外進出することも発表している。
フロー電池の構造は下記の通り、2種類のイオン溶液をイオン交換膜で隔て、酸化反応と還元反応を同時に進めることによって放充電を行う。
  • 充電時
    • 陽極
      • V4+が陽極に電子を放出しV5+に酸化。余ったH+はイオン交換膜を通じて陰極へ移動。
    • 陰極
      • V3+が陰極から電子を得てV2+に還元。
  • 放電時
    • 陽極
      • V5+が陽極から電子を得てV4+に還元。
    • 陰極
      • V2+が陰極に電子を放出してV3+に酸化。余ったH+は陽極に移動。

イオン交換膜とは、異符号のイオンの通過を阻止し、同符号のイオンのみを通過させる性質をもった膜のことで、その厚みは文字通り0.01mm-0.5mmとかなり薄い。

フロー電池は小型化が難しいとされるが、nanoFLOWCELL社は何らかの方法で乗用車への搭載を実現し、今後は他の分野にも事業拡大していく計画とのこと。
フロー電池の概念図を見ると、まるで心臓の心室ように見える。ぜひヒューマノイド型ロボット用の電池として実現してほしいものだ。

2014年7月24日木曜日

自虐(?)デバイス「KOR-FX Gaming Vest」

KOR-FXはプレイ中のゲームから爆発や銃撃などの環境フィードバックを得ることができるベスト。電池で作動するのでワイヤレス。PCやコンソールゲーム機のオーディオ出力を読み取るのでゲーム側での対応は不要とのこと。KickStarterでのファンディングは本日終了予定だが、すでに目標額の2倍の17万ドルを獲得している。
以前からあるゲーム用の座椅子をベスト形状にしただけといってしまえばそれだけのことなのだが、これならKinectやOmniなど体を動かしながらプレイするゲームにも対応できる。体を動かさないゲームであっても、プレイに熱中すれば体をよじったり姿勢を変えたりするので、より没入感が得られるだろう。OculusやMorpheusなどでプレイするならなおさらだ。
というわけで期待を込めて10ドル投資した(セコっ)

2014年7月22日火曜日

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

2006年に公開された神山健治監督による攻殻機動隊SACシリーズ初の長編。
草薙素子が擬体を乗り換えることで諜報活動を行う場面が映画「サロゲート(2009年)」を想わせる。非常に面白いギミックなのだが、使いすぎると複雑すぎて視聴者がついてこれなくなる。そのためか「同時に操れる擬体は2体が限界」と制約を設けているようだ。
2034年の未来を描いているにも関わらず主人公たちの乗る乗用車は驚くほど現代の車のまんまなのだが、本作ではSACシリーズおなじみの多脚戦車「タチコマ」が登場。ようやくSF作品らしいカーチェイスが楽しめるようになった。
ただ、1995年公開の第1作に匹敵するほどのSF的な新しさやインパクトは感じられなかった。人間より高次元な存在に進化したはずの草薙素子が、ネットの世界を渡り歩いてさらに別の概念へと変貌していく姿を期待していたのだが、やはり人気キャラクターを失いたくないということだろうか、むしろ逆に退化し、普通の人間に戻っていっているように思える。
これはシリーズ化による宿命なのかもしれない。

2014年7月21日月曜日

イノセンス (GHOST IN THE SHELL 2)

攻殻機動隊の続編。2004年の劇場用アニメだが、今ごろDVDにて鑑賞。
背景CGとキャラクターのセル画を組み合わせたプロダクションI.Gの映像表現は見事。とくに黄金色を基調とした択捉経済特区の独特の文化描写は圧巻。
しかしSFとしては前作と比較して新しいアイデアも無く、静的な会話が多くてアクション映画としても退屈だ。前作で「人形使い」と融合し、新たな生命体の形態にシフトしたはずの草薙素子が、単に「何の葛藤も持たない」退屈なネットの住人になってるだけというのも残念だった。
前作では「人間と人工知能」を対比させていたが、今回は「人間と人形の違い」をテーマにしている。しかし監督は人間の意識について、単に記憶と記憶を結びつける存在としか考えていないらしく、議論が空回りしている印象を受ける。意識とは「新たな情報をもとに再認識し続けること」であり、人間とは人間という制約の中で再認識をし続ける存在だ。「自ら認識を再構築し続ける能力を有するか?」「再認識にあたりどんな制約を受けるか?」といった観点で他者と比較しなければ、議論が成り立たないのだ。
相変わらず人間描写が薄い映画だったが、バトーの飼っている犬だけは実に魅力的に描かれていた。この監督は犬の映画を作ればよいのにと思う。

攻殻機動隊 2.0 (GHOST IN THE SHELL 2.0)

レンタルDVDにて鑑賞。いちぶCGが導入されているが、元となっている劇場用アニメ「攻殻機動隊」は1995年公開なので、内容的には20年前の作品ということになるが、さほど古臭さを感じさせないのは流石だ。草薙素子が装着するゴーグルはシンプルなデザインだが、心なしかOculusに似ている。
スパイ用に開発された人工知能が製作者も意図していない中で自我をもってしまうというくだりはややファンタジー感があるが、人が脳をネット接続するような時代になったら、それを悪用し、人に記憶を植え付けたり行動を操作したりといった犯罪が発生しうるという予想は的を得ているし、幼少期から脳と脊髄以外を機械に置き換えてしまった草薙素子が、肉体という制約に違和感を抱きはじめ、人形使いからの無茶な提案を受け入れてしまう展開も、今でこそ視聴者の納得感に期待できるものの、よくも20年前に考え至ったものだと改めて関心してしまった。
しかしこの作品、登場人物に人間的な魅力が感じられない点が残念だ。人工知能と対比するためにも人間性の描写は必要だと思うのだが、どうだろうか。