攻殻機動隊の続編。2004年の劇場用アニメだが、今ごろDVDにて鑑賞。
背景CGとキャラクターのセル画を組み合わせたプロダクションI.Gの映像表現は見事。とくに黄金色を基調とした択捉経済特区の独特の文化描写は圧巻。しかしSFとしては前作と比較して新しいアイデアも無く、静的な会話が多くてアクション映画としても退屈だ。前作で「人形使い」と融合し、新たな生命体の形態にシフトしたはずの草薙素子が、単に「何の葛藤も持たない」退屈なネットの住人になってるだけというのも残念だった。
前作では「人間と人工知能」を対比させていたが、今回は「人間と人形の違い」をテーマにしている。しかし監督は人間の意識について、単に記憶と記憶を結びつける存在としか考えていないらしく、議論が空回りしている印象を受ける。意識とは「新たな情報をもとに再認識し続けること」であり、人間とは人間という制約の中で再認識をし続ける存在だ。「自ら認識を再構築し続ける能力を有するか?」「再認識にあたりどんな制約を受けるか?」といった観点で他者と比較しなければ、議論が成り立たないのだ。
相変わらず人間描写が薄い映画だったが、バトーの飼っている犬だけは実に魅力的に描かれていた。この監督は犬の映画を作ればよいのにと思う。