2014年7月25日金曜日

フロー電池(FLOW CELL)の原理

2014年3月、ジュネーブモーターショーで発表されたnanoFlOWCELL社の電気自動車「Quant e-Sportlimousine」が欧州で行動を走る許可を取得したとのこと。1回の充電で走れる距離は600km。同社によると従来の(Teslaの)リチウムイオン電池にくらべ5倍の効率だとか。
フロー電池はレドックス・フロー電池(レドックス=Reduction-Oxidation Reaction)とも呼ばれる充電池。1884年フランスの科学者シャルル・レナールが発明し、1974年にNASAが月面基地用動力源として注目したことで世界中で研究が進められるようになった。1984年ニューサウス・ウェールズ大学のカザコス教授が蓄電物質としてヴァナジウムを使うことを発見し、実用化に目処がたった。住友電気工業は2012年から横浜の施設で太陽光発電の蓄電実験を行っており、海外進出することも発表している。
フロー電池の構造は下記の通り、2種類のイオン溶液をイオン交換膜で隔て、酸化反応と還元反応を同時に進めることによって放充電を行う。
  • 充電時
    • 陽極
      • V4+が陽極に電子を放出しV5+に酸化。余ったH+はイオン交換膜を通じて陰極へ移動。
    • 陰極
      • V3+が陰極から電子を得てV2+に還元。
  • 放電時
    • 陽極
      • V5+が陽極から電子を得てV4+に還元。
    • 陰極
      • V2+が陰極に電子を放出してV3+に酸化。余ったH+は陽極に移動。

イオン交換膜とは、異符号のイオンの通過を阻止し、同符号のイオンのみを通過させる性質をもった膜のことで、その厚みは文字通り0.01mm-0.5mmとかなり薄い。

フロー電池は小型化が難しいとされるが、nanoFLOWCELL社は何らかの方法で乗用車への搭載を実現し、今後は他の分野にも事業拡大していく計画とのこと。
フロー電池の概念図を見ると、まるで心臓の心室ように見える。ぜひヒューマノイド型ロボット用の電池として実現してほしいものだ。