2014年6月27日金曜日

スマートホームはグーグルをアテにはできない Smart Home by Google/Nest

スマートホーム(ホームコンピュータ)のハブをサーモスタットにしようという発想は、80%以上の家庭にセントラルヒーティングが普及しているアメリカだからこそ生まれたものだろう。
日本では部屋ごとに独立したエアコンをつけているので、同じことをやろうとしたらすべてを対応モデルに買い換える必要がある。エアコンは平均7年は使い続けるので、普及には10年以上かかってしまうだろう。
しかし同じ屋根の下に暮らしていても人によって心地よい温度や湿度は異なる。究極的に目指すべきなのはむしろ、部屋ごとに独立した環境コントロールだろう。日本とアメリカでは気候も生活習慣も異なる。GoogleやAppleはアメリカ人にとって素晴らしいスマートホームシステムを作ってくれるかもしれないが、それは日本人にとっては利便性の低いものだろう。彼らの成果を待つよりも、日本ならではの都合に基づく利便性を追求したシステムを独自で作るほうがよい。またガラパゴスかと非難されるかもしれないが、ウォシュレットのように、いずれは世界を驚嘆させる技術に進化できるかもしれない。
スマートホームの普及における最大の課題は、様々なメーカーの家電が家庭内に入り交じっている中で、いかにプロトコルを統一するかだ。官民協力で統一規格を作るという手段もあるが、調整に時間がかかるし汎用性を重視した結果、規格が完成したころには時代遅れになってしまうことが多い。
したがってどこかのメーカーが「各部屋に端末を設置することで省エネできるシステム」を開発し、爆発的にヒットさせることで、その通信プロトコルをデファクトスタンダード(事実上の標準規格)とするしかないだろう。
システムのイメージはこうだ。
各端末には温度センサーとユーザーの音声コマンドを拾うためのマイクロフォン。エアコンをコントロールするための赤外線送信機と、親機と通信するためのBlueTooth Low Energy、そして室内に人がいるかどうかを判断する動体センサーを搭載させる。配線がたやすいように乾電池駆動にして壁に両面テープで貼り付けられるほど軽量化し、価格も1つ2000円以内に抑える。子供がいる家庭向けの広角カメラを搭載した上級バージョンがあってもいいかもしれない。
親機はWiFiでクラウドに接続し、時間・天気予報といった一般情報のほか、ユーザーのスマートフォンからの指示を受け付ける。家の間取りと端末の位置をもとに、もっとも効率的にエアコンを作動させる。
端末の数にもよるが、価格はどんなに頑張っても2万円以上になる。このシステムを普及させるには「快適な生活が送れる」ことを詠うだけでは不十分で、数年内に損益分岐点に達することを明確に示さなければならない。オープンソース化を条件にするなどして、できれば国の補助金が欲しいところだ。
いったん普及してしまえば、このプロトコルに対応した電灯、扇風機、ヒーター、冷蔵庫などが登場し、省エネ効果はさらに増大する。「おもてなし」の精神で作られた,細かいところまで気のきいたこのシステムは、いずれ世界にも認められるのではないだろうか。