2014年7月27日日曜日

植物繊維って凄い ナノセルロース Nano-Cellulose

セルロース (cellulose) とはもっともありふれた炭水化物の一種で植物の細胞壁や繊維の主成分であり、紙の主成分でもある。そう聞くと白くてふにゃふにゃしたものをイメージしてしまうが、セルロースをさらにナノレベル(太さ4~15ナノメートル)にまで細かくほぐし(微細化処理)、ナノセルロース(セルロースナノファイバー、セルロースナノファイバー、セルロースミクロフィブリル)とすると、透明で軽くて硬い、夢のような新素材としての特性が現れる。

・強度は鋼鉄の5~8倍、プラスチックの3~4倍。ケブラー、アラミド繊維、マグネシウム合金と同等。
・重さは鉄の5分の1。プラスチックの3分の1。
・熱膨張率は高純度な石英ガラス級。ガラスの50分の1。
・石油ではなく材木から作る。森林資源が多い日本には有利。
・生分解性があるので環境にやさしい。
・製造コストはケブラーやカーボンファイバーの10分の1。

と良いことづくし。考えられる応用分野は多岐に渡る。

・温度変化で大きさが変わりにくい容器。
・小さく折りたたむこともできる太陽電池。
・超薄型で曲げることもできる有機ELディスプレイ。
・防弾ガラス。
・車や飛行機を軽量化できる。車1台あたり300kg軽くでき、燃費を20%軽減させる。
・微生物を取り除くフィルター。
・人体に親和性のたかい人工臓器。

王子製紙は2013年末から早くもサンプル提供を始めており、あと10年もすれば身の回りの多くのものにナノセルロースが導入されることになりそうだ。
カニやエビから抽出するキチンナノファイバーも新素材として可能性が高いらしく、改めて生体の高性能ぶりには驚かされる。