「2045年にコンピューターは人類全体の能力を遙かに超える。この「技術的特異点(シンギュラリティ)を境に、人類の進歩は予測できなくなる。」
これがレイ・カーツワイルらが唱えた、いわゆる2045年問題だ。
これからのコンピュータ、ネットワーク、ロボティクスの進化は、単にそれぞれの性能が上がるだけではなく、互いに結びつき、創造性を発揮し、人類の未来に大きな影響を与えるようになるわけだ。
今から30年後がどうなっているのか、詳細はともかくその変容度を想像するために、今から30年前はどうだったのかを考えると、1984年は(それはジョージ・オーウェルが全体主義社会の確立を予言した年であるが)、パソコンブームの中、ファミコンが生まれた時期だ。パソコンゲーマーを驚かせた当時最先端のグラフィックやサウンドも、今のスマートフォンに比べれば遙かに劣り、隔絶の感がある。しかし、この認識では不十分なのだ。コンピュータの進化は一次関数ではなく、指数関数的に増大する。過去30年間の進歩が1000万倍なのであれば、今後30年間の進歩はその1000万倍ではなく、10の14乗倍と見るべきなのだ。日本語でいうと「載」と呼ばれる単位だ。こんな単位は使ったこともないし、それがどれほど高性能なのか想像さえもできない。それだけは確かだ。