2014年6月10日火曜日

ニューログリッドは電気ネズミの夢を見るか? Neurogrid

スタンフォード大学のKwabena Boahen博士らのチームが開発したNeurogrid
Neuro Grid
Neurogrid
わずか400万円で作られたにも関わらず、約105万本のニューロンと数十億個のシナプスの動作を再現でき、その分野における能力は従来のコンピュータの9000倍とのこと。

なぜこのような大躍進が可能になったのかというと、従来はたったひとつの間違いも許さず大まじめに厳密な計算をやっていたところに、「ちょっとぐらい間違ってたって、だいたい合ってりゃいいじゃん」という人間らしい割り切りを導入したからなのだ。
実際、人間の脳は驚くほど不正確らしい。シナプスは30%~90%の確率で間違うが、それでも脳は問題無く動作している。結果オーライ。完璧じゃなくてもよいのだ。むしろその不正確さ(neural noise)こそ、人間のアイデアやクリエイティビティの源泉ではないかとさえ言われている。つい先日も、IBMのジャネット・ガルシア博士が、うっかり実験で混ぜる材料をひとつ忘れてしまったために、新種の熱硬化性ポリマーを発見したことが話題になった。将来ロボットも、たまに間違いを冒すことで、人間のようなアイデアを生み出すことになるかもしれない。

とはいえBoahen博士(当時助教授)の2009年のインタビュー記事を読んでみたところ、「2011年までにニューロン6500万個(マウス並)を実現したい」と語っており、決して順調というわけではなさそうだ。ぜひとも2045年までに人類の脳(神経細胞1000億)を目指して欲しい。